『ある春の日の』
今日も吹雪ちゃんは
日向でぽかぽか
物思いにふけっている。
いつも難しそうな本を読んでいる吹雪ちゃんが
珍しくぼんやりして
穏やかに考え事。
なぜか──少し楽しそうに見える横顔。
おうちにお兄ちゃんがいる時は
いつも楽しそうにしていますね。
やっぱり小雨と同じで
近くにいてくれるだけでうれしいのかな。
でも、春は不思議な季節ですね。
暖かくなったというだけで
吹雪ちゃんにあんなに大人っぽい顔を
させるなんて！
新しい季節がやって来る予感に
不安と期待を抱いて
考えることが多い様子は
なんとなくヒカルお姉ちゃんと似ている気がします。
食べ物の好みも声の大きさも
ずいぶん違う吹雪ちゃんとヒカルお姉ちゃん。
やっぱり姉妹だなって感じる瞬間も
あるものですね。
小雨は考え事どころか
きょう一日を何とか乗り切っていくことで
せいいっぱい。
そんな余裕は全然ないというので
落ち着きのある吹雪ちゃんがうらやましいです。
そんな話を立夏ちゃんにしていたら
毎日がいっぱいいっぱいなのは
立夏ちゃんもだいたい同じなんだって！
小雨と立夏ちゃん、
ずいぶんと違うような気がしていたのに
意外な共通点を発見──
これも新しいことに出会う
春のおかげです。
吹雪ちゃんは、春風お姉ちゃんがお裁縫をしている
春の装いもときどきゆっくり眺めているみたい。
この季節が来て
うれしいのかな──
それとも
お裁縫に興味があるのかな？
じゃあ、もしかしたら
家事・お手伝いは人並み程度だと自信がある小雨は
吹雪ちゃんに教えてあげられることが
あったりするのかな──
ぜんぜんちがう
小雨と吹雪ちゃん。
いつも助けてくれる
かしこいちいさな妹に
あんまりぜいたくを言うのはいけないけれど
同じ趣味があったら楽しいな、
姉妹の距離が──
もうすこし近づいたらいいなと思うときが
たまにはあるんです──
