氷柱

『春はまだ?』
今日は寒い日だったわね。
やっぱり風があるとまだまだ冬の気温だわ。
それとも気象の話では逆で、
冬の気温に近くなるような気象条件だから
風が吹くという──?
まあいいわ。
きのうはあんなに
踊ったり歌ったりしていた子供たちは
身を寄せ合い、
油断してタンスの奥にしまった冬服を引っ張り出して
ぶるぶる震えている。
陽気に歌って──
いったい続きがどうなるのか
よくわからなかった歌詞の続きは
また今度聞かせてもらえるはずだったんだけど、
どうも全然さっぱり。
今日は期待できないようね。
まあ、ユキみたいに普段から賢く暖かい部屋にいる子はともかく、
みんなたくましい子たちだから
なんとかなるでしょう。
みんなで協力しながら
あの寒い冬を乗り越えてきたんだもんね──
あともう少し、体に気を付けて
がんばってもらわなくちゃ。
寒い時には
広いところに出て体を動かすとか
していたし──
キッチンでは温かいものをおねだりしたり、
みんなで食べるためにホットケーキを作ったりもしながら
よくやってきた。
あんなにいい子たちが──
もうすぐ春というところで
風邪でつらい思いをしたらかわいそうだもの。
もうひとふんばりを──
年上の私たちが
助けてあげなくちゃね。
寒そうにして
今にも風邪をひきそうな子を見つけたら
首根っこをひっつかんで──
くしゅん!
今のは何でもないのよ。
寒そうにしていたら──もう一枚羽織る。
もう少しの間──とても用心深く厚着をしていいんだと
お手本を見せてあげるのも必要なことよね──
うんうん、きっとそうよ。
──下僕も気を付けるのよ。
変なところから風邪をうつされたりしないでね。