『今日も一日』
あっ!
いつのまに──
気がついたら
日は傾き
風も涼しく
汗のにじんだ肌に心地よい
もうこんな時間。
お庭で遊ぶ子供たちを眺め──
はしゃぐ声を聴きながら
さやえんどうのすじを取り
じゃがいもとにんじんの皮をむいて
休憩しようかと顔を上げると
同じ遊びに飽きた子は
手を振ってこっちを呼んでいる。
目が合うと
駆けてくる。
いつも、こんなふうに
夕暮れの景色は近づいてくる──
今日も暑かったですね。
一日お疲れ様です!
蛍はどうも
誰かが声をかけてくれないと
ずーっとのんびり
家事を続けて
たまに手持無沙汰の時には
廊下の雑巾がけや
窓拭きまではじめてしまうしまつ。
今日もあとちょっとのところだったの。
こうして
自分の好きなことをして
時間が過ぎていくのは
たぶんいいことなんだと思うけれど
このごろは、
いくらなんでも
ちょっと時間が過ぎていくのが
早すぎないでしょうか?
これが──
噂に聞く
年を取って時間の進みが早く感じる現象だったら
どうしよう!
いや、どうしようってどうしようもないけど──
それともまさか
観月ちゃんとユキちゃんが前に教えてくれたような
お話に聞く
時間を奪っていくわるい妖怪のしわざ──
いやいや、あるいは
好きなことをしていると時間の進みが早いという例の現象──
それで言うなら
単に、こういう毎日が
性に合っているからこそ、
こんな日々が好きだから──ということかもしれません。
蛍の手は明日も
ちょっと空いていて
お手伝いを求めてうずうずしているのだと思います。
お兄ちゃん、少し物足りなさそうな蛍を見つけたら
何も理由がなくてもいいので──
声をかけてあげてね。
すぐに喜んで駆けていくに決まっています!