ダイヤ・ルビィSS

ヨハネの名前がクラウザーさんと同じだからって、略称がDMCになるグループ名なんて考えてないですよ(挨拶)。
今考えているのは、ラブライブのタイトルにちなんだ名前だから、たぶん他ではあまりなさそうでいいかなというのだけど、響きはシンプルなので、もしかしたら同じ考えの人もいるかもです。どうも考えると複雑になってしまうことは多いけど、かといって、シャインライクサンシャインではちょっとシンプルすぎる気もするし。いや、このくらいでいいのかな? もっといろいろ考えてみようと思っています。
さて、二次創作の話で、俺の脳内で梨子が活躍する場合は、主に千歌が暴走してもその隣で微笑んで見つめながらいっさい止めようとすることもなく、的確な一言でさらに加速させるという感じで、千歌が大人しいと梨子も大人しくなりがちというか……すみません。こういう千歌と梨子のどっちがエンジンなのかわからない感じをもっと書いていったらいいのかな、と考えているところです。今回はそれとは関係ない話で……いろいろな意味ですみません。

『ルビィちゃんの赤ちゃんはどこからくるの?
「お、お姉ちゃん、どうしよう!」
ルビイが助けを求める声が聞こえる。
もうずいぶん耳慣れた声。思えば、ルビィが小さい頃からいつも聞いてきたものね。
子供の頃からすっかり私の大切な日常の一部。これからも変わらない。
そんなことを思い出すと、心かしかルビィが赤ちゃんのように小さかった頃の泣き声まで聞こえてくる気がするよう。
私の部屋をノックもせずにまた大慌てで空ける妹の腕の中には、元気な声で泣いている赤ちゃん。
「これはいったいどういうことなのルビィ!? 相手は誰なの!?」
「あ、相手? 相手はね……たぶんお姉ちゃん」
「私なの! やった! YES! って、そんなわけないでしょ! 心当たりがないわよ!」
心当たりがあってもそんなわけはないけど。
「うん、今度のユニット分けで、私の相手はお姉ちゃんになる予定なんだって」
「それはよかったわ! でも今はそんな話はしていないわ! その赤ちゃんはどうしたの!?」
「さっきまで来ていた親戚のおばさんが、買い物の間預かっていてほしいって」
ああそういうこと。
「そしたら急に泣き出しちゃって……どうしよう……」
「落ち着いてルビィ。こういう時のためにミルクやおむつはあずかっていないの?」
「思い出した! あずかってる! やっぱりお姉ちゃんは頼りになるね!」
「感心するより前に泣き止ませてあげなさい」
ルビィに尊敬のまなざしで見つめられるのは悪い気はしないけど。
結局、こういう時は焦ってしまっていつも手際が悪いルビィ。
私がほとんど請け負って、赤ちゃんのおむつを替えてあげる。
「お姉ちゃんはやっぱりすごいよ」
「ルビィだって、落ち着いてやればこのくらいは出来るようになるわ」
「なるかなあ」
「もちろん。それに私は、小さな頃はよくあなたのおむつを替えてあげて慣れてるの」
「へえーそうなんだ。お姉ちゃん、ありがとう」
って、そんなわけないでしょう。1歳の違いしかないのに、私は何者よ。どんなに早熟な生き物だったのよ。
こんなにだまされやすくて、この子は将来大丈夫なのかしら。
「お姉ちゃん、どうしてそんなに私の頭をなでるの? ルビィは赤ちゃんじゃないよ?」
「ルビィの頭がもう少しでもよくなりますようにと……」
「ひどい! ルビィはそんなに頭が悪くなんてないよ!」
そうね……物事には全て多くの面から見方があるから、世の中にはそういう考えもあるかもしれないわね……
すぐに機嫌を取り戻したルビィは、すやすや気持ち良さそうに眠り始めた赤ちゃんのほっぺたを突っついて遊んでいる。
「べろべろばあー」
「ルビィ、そんなことをしても赤ちゃんは眠っているわ」
「うん! 私がしてみたかっただけ!」
この子の頭がよくなりますように。
「私もいつかこんなにかわいい赤ちゃんを
「そうね、ルビィはかわいいから、きっと早く結婚するかもね」
「ええっ、そうかなー!」
「でも今のルビィには、まだ早いかもしれないわ。あなたはまだそんな気持ちなんて知らなくていいの」
「うん、そのほうがいいよ」
ほんの少し、私の胸を締め付ける感情。
恋の予感に期待する女の子なんて。
それは名家の長女として生まれた私とは違う、どうしても歩むことのできない運命。
たぶん私にはもう、小さな頃から決められて婚約者がいて、自由な結婚なんてできないの。
そんな話は子供の頃から一度も聞いたことはないけれど、だって大きな家だし、長女にそんな自由なんてない。
たぶんそう。
だと思うけど……
一応確認してみようかな。
携帯電話を取り出す。
私の家は旧網本の名家だということだから、父は今は漁師ではなくて、地元に大きな影響力がある会社を経営しているという考え方もあると思うの。私は自分の家のことでいったい何を不安そうに説明しているのかしら?
この時間は会社にいるであろう父に電話をかける。
「ピポパ……あ、お父様、お仕事中すみません。今お忙しいのでなければ、ひとつだけ聞きたいことがあって。この私に小さい頃から決められた婚約者などは……いない。ああ、そうですか。念のために聞いておきますけど、ルビィには……いない。はい、それだけです。ありがとうございました。お仕事大変でしょうけれど、あまり根を詰めないで……ではこれで」
そう、いないのですか。
では私もいずれは、生涯にたった一人の男性を決めて、この家の跡を継ぐ赤ちゃんを授かるのね。
「ルビィ。いったい恋をするのってどんな気持ちなのかしら。それを知るのに早すぎることなんてないわよね」
「お姉ちゃんがさっきとは180度違うことを言い出した気がするよ」
「あら、また携帯に電話だわ。今度は父の会社の秘書の人ね。はい、もしもし。はい、父が。今の電話はいったいなんだったのかと。さては誰か紹介したい人でもいるのかと。だとしたらもう自分は生きていられないと。その男を殺して自分も死ぬと。腹巻にダイナマイトを詰めて帰途に着いたと。はい。わかりました。いつものことなので気にしないでください。わざわざありがとうございました」
まったくお父様ったら。せっかく赤ちゃんが寝付いたばかりなのに、帰ってきてそんなに騒いだら起きてしまうではないの。
「ルビィ、残念だけど赤ちゃんはそろそろお母さんのところへ帰してあげたほうが良さそうね」
「そっかあ、残念だね」
「親戚の子ですもの、またいつでも会えますわ」
「そうだね。じゃあまたね、あさひちゃん」
「あさひちゃんというお名前なのね。まあ、眠っているのに手を上げて、聞こえているみたいに反応して。とっても素直でかわいらしい子だわ。大きくなったら、きっと素敵な女の子になるわね」
「そうじゃなくて、名前を聞くのを忘れたから今てきとうに付けた名前なの。あさひちゃんって感じがするでしょう?」
この子の頭がよくなりますように。
それでこの赤ちゃんもどうして違う名前に反応するのよ。何か今の名前に不満でもあるの? いえ、ダイヤという名前に不満なんてないわよ。いい名前よ! この子もきっとサファイアちゃんかプラチナちゃんね。いい名前よ! でも小さい赤ちゃんにはちょっとむずかしいかもしれないわね! 大きくなったらどんなにいい名前なのか私がよく教え込んであげるから覚悟しておくことね!