『TENDER GREEN』
昼の日差しがますます明るく
汗ばむほどになる
変わり目の頃。
気がつかないうちにこんなに暖かくなっているんだな。
ちょっと余所見をしている間に
世間は私を置いてどんどん春になってしまうのか？
そう思ってびっくりしていると
やっぱり相変わらず朝も晩も
暗がりの隙間を縫って近づくように
ぐっと寒さが染み入る
どっちつかず。
こういう季節には体調を崩しやすいんだって！
となれば、今こそ大事なことは
危険な何物も寄せ付けない熱気、活力、パワー、
身のうちから湧き出る精神力！
ではなくて
出来る限りの自己管理。
だと
さっき春風が教えてくれた。
いや──あれは叱っていたんだろうか？
心配してくれて。
いざというときに抜けているかわいい妹だからって。
まあなんだ。
精神力に頼っても風邪を引いて倒れたでしょうと言われれば
確かにそうだったかもしれない、
そんな時もあったかな──
長い人生だもんな。
そうして失敗もするかもな。
考え込んでしまったり
そこを狙って丸め込まれるように
なんだかその気にさせられてしまうわけだ。
だから今日のところだけは私の意見は
自己管理だぞ！
無茶をしないで
体をいたわる。
喉が渇いて帰ってきたからといって
冷蔵庫のウーロン茶のペットボトルをすぐ空にしたりしたらいけないし
最近話題だからといって
夜更けにネットラジオを聴きながら気がつくと途中で寝落ちしたりなんて
とてもできない！
あんなに楽しいラジオなのに
やけにうれしそうに泣きながら聞いている誰かがいたのはなぜだろう。
オマエもついに花粉症なのか？
このごろ似合わない努力で
もうまもなく私も
今までにない健康体を手に入れることになりそうで
うずうずしてきた感じがする。
いや、でも体が完成する頃にはすっかり春が来ているな？
そうしたらやる気が有り余って
今度はみんなの手を引っぱり走り出すことになったり──
そうなっても
誰も困らないから別にいいかな。
この春はいっぱい電車を追いかけるんだって
最近ずっと体調に気をつけていた麗がさっき鼻水を垂らしていたけど
花粉症だったらかわいそうなことだな。
もし気をつけていても風邪をひくのだとしたら
私としては何も言えなくなるんだけど
うん。
うちには優しく看病してくれたり
もしかしたら花粉症になったかもしれない先輩もいるみたいだから
なんとかしてあげるのも
私が自分ひとりでやろうとしなくたって
たぶん大丈夫なんだろう。
寒くて身動きできなかった頃はもう過ぎて
まだまだつらいときがあったって
もうすっかり
春が近いみたいなんだから。
