真璃

『うわさのレディー』
乙女たちがいつも
うわさが大好きなのは──
けなげで家族思いの
あのやさしいユキちゃんをさみしくさせないように
いろんなお話を届けてあげたいからなのよ。
青空ちゃんがいっぱい
泥だらけになってにこにこ帰ってきたとか、
夕凪ちゃんがテストで百点をとったとか
ヒカルお姉ちゃまが剣道の部活動で強敵に打ち勝ったとか──
いいしらせを伝えて
退屈そうだったユキちゃんの顔が輝くのを見るのは
いつだってうれしい。
だから家族のためなら──
マリーはどこへだって飛び出ていって
いっしょうけんめいにうわさを探し、
ほこりや泥の汚れも寒さも止めることはできない情熱を胸に──
ときどきは女王の生まれ変わりであることも忘れて走るの。
いいえ、女王だからこそ
人々の集まるところを見に行かなくては。
役に立つこと、面白そうなことを
細い腕だって──力が足りなくたって
いっぱいにかき集めなくては。
だって、そうせずにはいられないんですもの。
にぎやかな笑い声が
いつでもマリーを呼んでいる!
フェルゼンも何か面白いうわさを聞いていない?
良い子のみんながたのしんで、
ときどきは教育的で、
ときどきはひそひそ内緒の声で──
どんなお話だって聞きたいわ。
大事な家族のみんなに喜んでもらうために
しっかり抱えて
運んであげたいわ──
むむっ!
そろそろ話しのネタが尽きるころ──
レディーたちのうわさ話が
ひとときの沈黙を迎えるころ。
こうなったら仕方ない、
誰もが喜ぶゆかいなうわさのために
マリー自身が──お手伝いをして活躍したっていいんだわ!
寒い日の朝には
目を覚ますのが遅いお日様をそっと揺り起こすために
東へ向かう乙女──
新聞受けからおみやげだって運んでくるに違いない。
そんな立派なお話を誰かが伝えるに違いない──
冬の日だって変わらない──
どんな日もマリーたちの家族はわいわい、にぎやかなのよ。