綿雪

『そこにピーナッツバターサンドはある』
ユキはもう知っている──
氷柱お姉ちゃんがくれる一番おいしくて
ユキの好きなもののこと。
いつも忙しい氷柱お姉ちゃん、
だけど子供たちのことをよく見てくれて
遊ぶ約束だってしてくれる、
約束をしたら一生懸命に急いで帰って来てくれる──
よく用事が入って
あわててコンビニで簡単なおやつを買ってすませたり
お買い物をするときに
すぐ食べられるものを選んだり──
あわててしまって
食べている時間もなかったり。
そういう氷柱お姉ちゃんのお菓子が
ときどきカバンの中からこぼれたりもするの。
ユキのお部屋に会いに来てくれた時
氷柱お姉ちゃんのカバンの奥に
見えたのは──
おいしいの?
氷柱お姉ちゃんが好きなお菓子なの?
ユキが食べても大丈夫?
小さなみんなと分けて食べたりなんかしても
いいのかな──
こんなものでいいの?
氷柱お姉ちゃんは、よく笑っている。
もっといいものが
たくさんあるのに。
うーん、不思議だな。
どうしてユキだけが知っている秘密のようになっているんだろう。
もしかして知らないふりをして
こっそり種明かしなんて──
ユキにいたずらしようとしているのだったりして!
大好きな氷柱お姉ちゃんと一緒に
おやつを食べて──
みんなと一緒に食べて。
それが簡単にあるわけではない、
どこにもないかもしれない特別な
そんな気分になるんだってこと──
まるでユキだけが知っているみたい。
ハロウィンにいつものお菓子を食べるのだって
とてもいいと思うって
伝えたら──
それなら、別にハロウィンじゃない日もユキと一緒に
おいしいおやつをたくさん食べようって言ってくれたの。
楽しみです!
そう、だから
ユキはもう知っている──
ハロウィンでみんなとお菓子を食べて
とっても元気な子供たちに囲まれて
氷柱お姉ちゃんは少し困ったようにしながら
なんだかうれしそうなんだろうなってこと、
明日が来る前に
もうわかってしまった──
今年もユキは
家族のみんなとハロウィンの日を迎えると思います。
氷柱お姉ちゃん、いつもありがとう。
だーいすき。
今年も来年も、それからもずっと
ハロウィンを過ごせたらいいな。
いつかずっと先、ユキがおばけになっても会いに来ます。
みんなが仮装をしていても見破ってしまいます──
だってそうでしょう?
ユキをそんなふうにしたのは
こんなに大きくなるまで一緒にいてくれた家族のみんな、なのだから。
どこにいても見つけるに違いない。
今年もありがとうって言いに行くに違いないんだから。