『私だけの宿題』
小さい子に
いろいろなことを教えてあげられるのは
いいお姉さんだ。
学校のお勉強、
繕い物のやり方、
それから
おいしいお菓子を売っている
とっておきのお店。
まあ──
別にどうでもいいんだけどね。
なんにもできなくたって
誰も人をお姉さん失格になんてしないし
何より
いいお姉さんになったからって
特別なことがあるわけじゃないんだし。
今、ハロウィンのお菓子についての
情報交換が
みんなの最も熱い話題。
迷うのも楽しい。
どんなお菓子か
想像するのが楽しい。
話を聞くだけで
何より楽しい──
そんなお菓子のお店なんて
あんまり知らない子は──
自然と肩身が狭くなるというものよ。
別にそんな必要もないのに
勝手に肩身が狭くなっているだけかもしれないけど。
でも中学生になって
普段から年上の顔をして
偉そうなことを言って──
こういう楽しい時にあんまりできることがないとなると、
うーん──
日頃はあんまり考えたりもしないような
私はこれでいいのだろうか?
みたいなことだって
頭に浮かんでくるというわ。
自分に自信を持ち
突き進むことしか選ばなかった
そんな人間が──
たかがハロウィンのお菓子くらいで
立ち止まり
目を閉じ
たまには友達に相談し、
そして──結局たいした答えが見つからない。
氷柱が見つけてくるからには
ちょっとやそっとのお店では
どうも納得がいかないのよね!
ハロウィンも近づいて
日暮れも早い。
あんまり街を歩いておばけにさらわれても
困るから──
仕方がないけど、受け入れるしかないわね。
私があきらめるなんて──
ちょっと気に入らないわね!
もう少しもがいてみようか迷っているところよ──