綿雪

『願いは一つだけ』
このごろすっかり
寒い日が続くようになりました。
ユキは体があまり丈夫でないから
気を付けないといけない季節──
もしも、みんなと一緒に元気でいられて
たくさん遊べるのなら
とてもいいのにな──
と思います。
なるべく早く
体が冷えないように
おうちに戻りながら、
ときどきそんなふうに
言ってみることもある──
今まで一度も
そんなことはかなわなかったというのに
どうしてまた
秋が来て、冷たい風が吹くようになると
また言葉にして漏らしているのだろう──
秋の間においしいものをよく食べて
去年よりは大きくなっているから──
少し体調も良くなっているかも。
毎年毎年
期待していることです──
ユキがそんなふうに言うと
夕凪お姉ちゃんも──そして、みんなも
すぐに元気になって
一緒に遊べるようになるって
答えてくれる。
もしも本当に一つだけ願いが叶って
ユキのことを神様が
その時は
誰よりも気を付けて見てくれることがあるとするなら
そうしたら──ユキにやさしくしてくれて
いつも一緒にいたい気持ちでいっぱいになる
みんながずっと元気で──
これからも変わらないでいてほしいの。
もしかしたら、そうして勇気をもらっていたら
本当に体も良くなるかもしれない。
だからユキの願いはもう決まっている。
これからもいつも──変わらないこと。
そうしたら、夕凪お姉ちゃんは
ひとつだけじゃなくて、ユキのお願いは全部叶えてくれるって。
そうなの?
ユキにはちょっと──ぜいたくじゃないかな?
でも、そうだったらいいな。
これからまた寒い季節が来て
小さなユキたちが身を寄せ合って乗り越える季節が来る──
お兄ちゃんも、風邪をひかないでいつも元気でいてね。
ユキのお願いです。