『マホウのパワー』
はいっ!
大切な家族と可愛い妹たちの
どんなお願いでも叶えたい
夕凪がやって来た。
おなかがすいた?
よーし、なんとかする!
百万円ほしい?
よーし、なんとかする!
恋の願いを叶えたい?
それは夕凪も同じ!
よーしよし、
絶対なんとかする!
私たちの街が秋に変わっていって
たまに落ち着かないお天気。
しとしと冷たい雨が降り
あたたかいお日様も雲の陰の向こう──
お外で遊びたい気持ちでは
誰も勝てない、
そんな夕凪だったら
あらゆる困ったお天気を吹き飛ばして
どんなことでもできるに決まっている。
ましてや、これから
季節はどんどん
寒くなっていく──
ぽかぽか陽気を呼び出す
特別なマホウが必要だ!
海晴お姉ちゃんも
うれしくて踊り出すような──
掲げたステッキの一振りで
ゆかいな景色をぜんぶ目の前に呼び出すのだ。
でも、そんなすごい願いを現実にする力って
もしかしたらとんでもなく
大変なことなのでは?
すごいエネルギーがあってこそなのでは?
まかせて!
夕凪だったらもう
全ての力の源を知っている。
だから簡単に実現できる──
ほら見て!
夕凪ががんばって
みんなのお願いを聞いていると
にこにこしている子ばっかりで
おうちの中はどこもかしこも、とってもまぶしい。
何かの力に
ちがいない!
本当のことを言うと──
もちろんもうばれているのだけど、
おなかがすいた子に
夕凪が食べたあとのお皿から、おやつはあげられない。
百万円もどこにもない。
恋を叶える方法だって
まだまだ探している真っ最中──
だったら
寒い日を変えてしまって、みんなでお外に行きたくなるなんて
なかなかすぐには、できるかどうかわからない──
そんな夕凪に
でもまあ
やってみるだけやってみるか!
と、思える力をくれるのは
おうちのみんなのちょっとにこにこ
うれしそうな顔をする時間だけなのだ──
お兄ちゃんも、いいことがあったら
夕凪のところへ走ってきて
わくわくするお話を──残らず全部教えてね。
きっとあらゆる願望に手が届く。
その力をもらうため、お兄ちゃんと夕凪の間に
秘密は何にもなしがいいな。
これって、魔女との契約というやつなのかな──?
約束をしてみる価値はあると思う!