『インスピレーション』
いけない!
毎年、ハロウィンが近づくと
コスプレ好きな子は
あれもこれもと
夢が膨らんで──
止まらなくなる。
定番のホラー映画にしましょうと
テーマを統一してみても
話がまとまるどころか──
吸血鬼だって
紳士的な方向だったり
せっかくならセクシーにもしてみたくなったり
いろいろやりたいことが多いのです。
制限しようとすると
人の想像は
かえって広がっていくみたい。
みんなもそうなのかな──?
フランケンシュタインの怪物には
恐ろしげで孤独なイメージがあるからこそ
恋人もセットでいてほしいものだ──
あるいは、科学者と仲が良かったらいいのにと──
狼男は──
ゾンビは──人魂は──
みんなにも
元ネタにちなんだ友人がいたら
ハロウィンはもっとにぎやかになるのにな。
でも、蛍一人だけでは
全てには手が回らないのが
現実というもの。
ああ、だけど──
現実が目の前にあるからこそ
夢を見るときくらいは
奔放に翼を羽ばたかせてみたくならない?
悪霊は──雪女は──
巨人は──小坊主は──花嫁は──
蛍がなってみたいのは
いったいどれかな──?
まだまだ時間はあると思っていると
意外とあっという間に準備の期間は過ぎて行ったりで
そうやって迷うのも、楽しい時間ではあるのだけど。
妄想しながら
手を動かして
まとまりのないコスプレ衣装ばかりのままで
本番が来てしまったら、
やり残したことばかりで
後悔してしまったら
たいへんだ!
こんな子供っぽい悩み、
相談できるのは
信頼しているお兄ちゃんしかいないよ──
蛍の悩みを全て解決する
何かいいアイデア、
お兄ちゃんとお話ししながらだと
生まれて来たりしないかな?