真璃

『秋が来ても』
どうしても──
やっぱり子供は
お外で転がりまわって
遊ぶのが大好き。
良く晴れたと言っては
お庭に出て、
雨が降りそうだと言っては
様子を見に
お庭に出て──
すぐには帰ってこない。
どうして?
いろんな理由を
こじつける人はたくさんいるけれど、
子供たちにとっては
そんなものはなんにも関係ない。
だってなんだか──
どきどきして
わくわくするでしょう?
だったら、行かないなんてことはできない。
あんなにすばらしい陽気と
心地の良い風が呼んでいるのだから
仕方がない──
それが、このところ
どうもぽつぽつ
雨が降ったりやんだり。
秋の長雨というそうよ。
あのくらいの曇り空なら
全然大丈夫と思って出て行ったら
頭に雨粒がぽろぽろ、
はしゃいで
はねまわって
結局、濡れて帰って来て
怒られる──
今は、何をするにもいい
過ごしやすい秋だといっても
お天気だけはままならない。
いいわ!
おうちの中で遊べる遊びだって
マリー、たくさん知っているんだから。
一緒に遊ぶ暇そうな遊び相手だって
いくらでも見つかるんだから。
そう言ってみたって
やっぱり──
気になるのは、ガラス越しに眺める雲の流れ。
もうこうなったら仕方がない。
マリーには──
つよーい味方、
天気予報に詳しい海晴お姉ちゃまと
その影響でちょっとお天気を調べるのに凝ったり飽きたりまた凝ったりする
家族がたくさんいるんだもの。
もしもよく晴れる時が来たら──きっと逃がさないわ。
その時が来たら、どれだけ夢中で走り回るか
わからないくらいだわ──
ちょっとくらいなら泥が付いたってかまわない。
そういうふうに──広がるあの景色に魅惑されるみたいに
子供はもともとそうできているんだから
止めることなんてできない。
ままならないお天気と
どうあってもあきらめない子供たち──
お空と地上で雄大なスケールの押し合いっこ。
いつの時代もそうだったと
マリーは小さくたって、ちゃんと知っているんだから。