立夏

『それから蛍ちゃんは』
いつも明るく
そしてやさしく、
大騒ぎばかりでもどんな時でも
我が家を支えるホタおねーちゃんは
このごろ考えていた。
まもなく訪れる
初夏の日々に向けて、
みんなにおいしいものを食べてもらいたい。
そのために
冷蔵庫の中身を
入れ替える必要がありそうだ──
家事の手際もよく、整頓が得意なホタおねーちゃん。
何より、気が利くホタおねーちゃん。
もうしばらく寒い日が続いても
みんなが元気でいられるようなものを
たくさん食べさせてあげるのだ──
でも、まさかのことで
急に暖かくなった日のことは
考えていなかったらしい!
おねだりされる冷えたおやつ──
献立の話し合いで
暖かいお鍋は今日はいいやという人も多い。
みんなわがままだ!
そんなやかましい声を聞いて蛍ちゃんは
キッチンに入り、
すっかり把握していた冷蔵庫の中身を取り出し、
なんと
日持ちがするものを作り始めたという!
こうして、かさばる野菜を片付けて
今まであまり使っていなかった冷凍のほうにも入れるようにして
冷蔵庫を開けるのだとか。
立夏には、そのへん詳しいことはわからなくて
氷柱ちゃんの説明だとそうなるらしいけれど
とにかくどれも
おいしそうだ!
日持ちがするといわず、すぐなくなっちゃうんじゃないの?
リッカが三人くらいいたらどうなるかわからないな。
というわけで
今日は、ごはんがすすむ具だくさんのおかずばかり。
残りは冷凍できるものばかり!
ホタおねーちゃんは、明日からのお買い物の予定に
みんなの意見を聞いて
メモを始めたよ。
これは好きなものを伝えるチャンスじゃないのかな?
きっとそうだろう。
オニーチャンも、リッカと手をつないでホタおねーちゃんのところへ行って
なんでも食べたいものを教えてあげようよ!
今なら、チャンスがあるかもしれないよ──
リッカはこういう、いいタイミングを見つけるのは得意だよ!