綿雪

『一日の終わりに』
暖かいミルクを飲んで、
今日のことを思い出して──
最近、よく遊んでくれていた氷柱お姉ちゃんは
しばらくサボっていたお勉強をするというので
今日はなかなか遊べません。
さみしいけど
わがままばっかり言ったらいけないです──
きのう、氷柱お姉ちゃんと一緒に
図書館で選んだ本があるんだから
それでいいの。
一緒に選んだ本は
元気な子供のお話で、
失敗もしたり
読んでいてハラハラしたり──
でも、一番大事なところで
お友達と力を合わせてがんばって、
最後はおなかをすかせて
楽しそうにおうちに帰っていくんです。
ユキは、このお話のように
速く走ったりはできないけれど、
それでもわかる──
どきどきすること、
みんながいてくれてうれしいこと、
そして──大好きなおうちに帰っていくときの気持ち。
きっと、お話の子もこんなふうに
一日を思い返す時間に──
いろんなことを話したくて、
お兄ちゃんやお姉ちゃんたちと顔を合わせて
ずっと聞いていてほしいに違いない。
でも──
氷柱お姉ちゃんとはあまり会えない日なので
お話を聞いてはもらえません。
とても楽しく過ごした日の──ほんの少しの心残り。
氷柱お姉ちゃんは、もう大人だから
そんなにさみしくないのかな──?
でも、そうしたら
子供の時はやっぱりユキみたいに
いろんなお話を聞いてもらいたくて
お兄ちゃんはまだいなかったけど、
お姉ちゃんたちのあとを追いかけていたりしたのでしょうか──
こんなことがあったんだって
ずーっと話したいことが浮かんでくるような時間を、
氷柱お姉ちゃんも?
今の落ち着きのある氷柱お姉ちゃんを見ていると
どうなんだろうか?
そうなのかな?
と、思ってしまいます。
ユキが知らない、思いもよらないような
毎日を過ごしていたのかも、と──
ああ、またお話をしてみたいことが増えてしまいました。
明日は──氷柱お姉ちゃんのお勉強がよくはかどって、
休憩をとる時間だとかにまた──
いっぱい一緒にいられて
いつまでも終わらないようなお話を続けられたらと──そう思います。
氷柱お姉ちゃんの選んだ本は
いつも面白いんだって
一番に伝えたいな──