立夏

『ふしぎ! タンスに消えた冬服』
小雨ちゃんは賢い子だから、
大事な服をどこにしまったのか
あわててしまって一瞬忘れたような気がしているだけで
落ち着いて思い出せば、すぐに出てくるの。
なにしろ立夏と違って
落ち着きもあるからね!
そして問題は──
小雨ちゃんに影響されて
それなら自分も! なんて
柄にもなく慣れない片付けを始めた
立夏のタンスだ!
おかしいな?
しまった時には──
かんぺきだ!
もう何があってもすぐに必要なものを取り出せる
最高の収納術だ!
と、特に根拠もなく思っていたのに
この寒い雨の日には
もうまったく出てこない!
すっかり大急ぎで着替えるつもりで
こっちはもう脱ぎだしているところだったというのに、
まさかこんなことになるとは予想できなかった──
すぐに、急いで見つけ出さないと、
はーくしょん!
大変なことになりそうな予感がする。
落ち着きのない立夏でもそれはわかる──
暖かくなってきた季節なのに
この雨で
風邪をひいてしまうとしたら!
楽しい春休みを
臥せって過ごすことになったりしたら──
でも、あせればあせるほど
服は見つからず、
立夏の鼻はムズムズしていくよ──
わーん!
こんなときに、風邪をひきそうな立夏
助けてくれる人がいるとしたら
とってもいいのにな!
もうかなり脱いじゃったから、こんな格好で会いに行けないけど──