海晴

『ひなまつりガール』
昼間は暖かい時間も
だんだん増えてきて、
遠くに──春の気配が見えてきた季節。
穏やかな日に
家族でのんびり過ごすことも
多くなったけど──
ついに誰かが
気付いてしまった。
お祭り好きの我が家が
もうまもなく
女の子の成長を願うお祝いの日、
ひな祭りを迎えるということを──
まあね!
どんなに楽しみにしているからといって
先にある出来事が
今すぐやって来るというわけでは
ないんだけど。
でも──私たちは
もう知っている。
計画を立て、
準備をしながら
みんなで楽しむ
その日を待つのが
どれだけわくわくすることか──
ここしばらく、
お祭り騒ぎがあったから
すっかりわかっているんだもの。
今はまだ
暖かさにほっとして
どこも和んだ雰囲気の中、
ゆっくり過ごしているように見えるけれど、
私にはわかる──
蛍ちゃんの手にしているあのお料理本
それを見つめる輝く瞳──
小さい子のお人形遊びもよく見ると
今日はなんだか──
お仲間が現れるのを待っている話が多い様子だったわ。
もうすぐ、ここには
桃の花と──
お祝いのお料理と
いいお顔のひな人形があらわれることを
もう、みんなどこかで
気が付いているのかもしれない──
穏やかに過ごせるのは、あとどれくらいかしら?
ついについに、
みんなでまた
一緒に迎えたい
あの優しい時間を探し当ててしまったかのようだ──
もう──
こうなってしまったら
私だって、わくわくしなくっちゃいけない気がするわね!
暖かい日はだんだんと増え、
しかし寒さは時にはぶり返し──
それを繰り返して春は近づく。
我が家に春が来るのは
いつなのかしら──
それは、もう遠くない先のことだと
なんだかわかってきている──