『準備』
そろそろ
始めたほうがいいとわかってる──
重い腰を上げて
いつかは、やらなければいけないことなんだから。
先延ばしにしても解決しない。
でも、なぜか
そのうち──
調子のいい時、
気分が乗っている時、
そのために今までコンディションを整えてきたと
言える時──
待っていれば、やがては今よりも
もっとベストなタイミングがやってくると
考えてしまうの。
今まで別に、そんな経験のほうが少ないはずなのに──
なぜかしら?
ありもしないような可能性に期待してしまうのは。
あ!
今の時期にこんなことを言ったら
誤解されてしまうかもしれないわね。
違うの──
そういうわけじゃないったら。
なにしろ、季節は年度末。
来年には進路も決めないといけないと言われているし
これではまるで
今までの予定を変えて
優秀な成績が必要になる
将来ある
女子校へ!
進学校に進む考えがあるみたいじゃない。
そんなふうに思われたら、
時間の余裕がある三学期や
春休みの間に
鉄道の本を読んで優雅に過ごす計画が
台無しになってしまう。
だから、今のところはそんな気持ちはないって
はっきり言っておかなくちゃ。
でも──
うーん──困ったな。
この本も問題なのよね。
なにしろ、目の前に近づく
大きな悩みは、
春になって冬服を片付けるお仕事が
近づいているということなんだもの。
この本も──押し入れに運ぶ分も少なくないはず。
いつも手元に置いておきたいのに──
それが難しいのよね。
なんだか最近、おうちの中がそわそわしているような
感じがするのは、
きっとみんなも同じことで悩んでいるのでしょうね。
片付けたら仕舞わないといけないものがある──
そう考えると、部屋を散らかすことにかけては誰にも負けない立夏ちゃんも
好きなおしゃれをできなくなる悲しさに向き合うことになるわけだから
少しは同情してしまうかもしれない──
それはそれで、片付けはきちんとしてもらわないと困るけど。
はあ──
でもまあ、まだいいわよね。
春の足音が聞こえても
冷たい冬はまだ長く、
凍える寒さに耐える日々は続く──
これから迎える暮らし良いお部屋の一大事に向けて、
もう少し、考える時間をもらわなくっちゃ!
──みたいな話をすると、
不思議なことにみんなが「そっち!?」みたいな顔をするの。
なぜかしら?