氷柱

『ああ、そう』
へえ──
虹子と青空が
まるで誰か立派な人の影響を受けたみたいに
とってもえらい
みんなに役立つことを始めたのね。
それから──
ユキがそこに居合わせて、
すごくいいものを見たように
うれしそうにしていたのね。
そうなんだ──
ああ、まあ、いいんだけど。
ところで私たちの家族の
みんながときどき頼りにする下僕に
相談──ともいえない
質問みたいなことをしてみたいんだけど、
たとえ話として
たとえば、大きなお姉さんが
忙しい時期にだらだらして
あまりお手本にならないので。
もう少しやる気を出してほしいと考えた
とある何者かの策略で、
小さい子供ががんばっていたら
サボっていられないと
そういう雰囲気にしたかったとする。
そのために、
彼女は──まあ、彼でもいいんだけど
あなたじゃないのはわかっているから、彼女として──
そう、彼女は思い切って
自分の小さな頃の
お手伝いの思い出を
多少脚色して、
とってもがんばっていろんなことをして
お姉ちゃんたちにもすごくすごく喜ばれて、
そのすばらしい経験のおかげで
大きくなったらお勉強もできるようになったし
スポーツも得意だし
学校を支える生徒会にまで注目されて
来年くらいには中学校を背負って立つ役目を任されるかも!
それもみんな
みそかのお手伝いがよかったのね、
などと──
かなり大きく話を膨らませて
語ったのが原因だと
みんなに知られたら──
どうなると思う?
まあ、たとえ話だから
別にこの通りのことが起こったとは限らないんだけど。
──いや、まあ
そういうことではあるんだけど。
もし、ここだけの話にしておけば──
虹子と青空はえらいね、で終わる
ほのぼのした展開を迎えるかしら?
もし──ばれそうになったら
少しくらいごまかすだけなら
協力してくれる?