『ダイアモンド』
寒い日が続くわね。
そうなるともちろん──
いえ、寒くなくても当然なんだけど
いくらイルミネーションやクリスマスの話題が
テレビや雑誌でにぎやかだって、
子供は家に帰る時間を
守らなければいけない
普通の話。
車の通りも増えるし
忙しい人も多くなる時期、
暗くなるまで──
この時期の街に
きれいな明かりが灯るまで
外にいるなんてことになったら
家族に心配をかけるし
自分だって不安だもの。
たまに
ほんのちょっとだけ
遅くなっても仕方ない感じで
許されるのは、
姉さまたちの買い物や
お迎えやらの用事に付き合うことになって、
予定が少し
思っていた通りに行かないで
遅れた時。
年上の子は
怒られてしまうけれど、
荷物持ちとかの用事に駆り出された下の子は
あまりきつく
言われないでしょう?
なるべくなら
あまりあったら
いけないことなんだけど──
でも、たまに
想像することって
ないかしら。
クリスマスシーズンは
大人たちがよく話題にする
華やかな景色があるんだって。
もしも、少しだけ
そのあたりの道が入り組んでいて──
もしも、まわりの人たちが忙しすぎる
雰囲気につられてしまって
冷静さをわずかに欠いた時、
心の底で
もしも偶然で見れたら
うれしいなとちょっぴり思っていた場所に
たまたま遅い時間に
通りかかるということが
もしもあったら──
まあ、寒いのも暗いのもあんまり好きじゃないし
なければないでいいんだけど。
ただの──想像の話ということになるわね。
明日は、姉さまたちの
買い出しの用事に付き合わされる予定が入っているの。
大丈夫。ちゃんと帰り道はスムーズにいくように調べてあるから。
何も特別な事態は起こらないに決まっているんだから──