綿雪

『待っている』
麗お姉ちゃんは今日も
お部屋でお休み。
だいぶ体調は良くなっているから
そろそろ帰って来るかも──
なんだって。
お見舞いに行った海晴お姉ちゃんに聞いたら、
顔はまだ少し赤いみたいだけど
全然平気な顔をして
いつもみたいに
細かいところまでよく気が付いて、
看病をする小雨お姉ちゃんや
立夏お姉ちゃんのほうが──
薄着でおこられて、
風邪をひかないように注意されているんだって!
大丈夫そうで、よかったです。
でも、そんなお話を聞いていたら
なんだかつい──
顔が見たくなってくることありますよね。
少しの間だけ離れて過ごして、
いつもの人と会えない
こんな時。
落ち着かなくて
ちょっとせつない──
この気持ちを、さみしいと言うのでしょうね。
ユキは──
離れて過ごした人と
しばらく会えないのに
当たり前だと慣れているつもりだったから──
もうすぐ会えるって聞いた時の
こんな気持ちは
あんまりなかった気がします。
これは、もうすぐ
お兄ちゃんが帰ってくる時間を待つ時の
気持ちなのでしょうか。
氷柱お姉ちゃんが帰る前に連絡してくれて、
みんなの好きなおやつを聞いてくれた時の
あの気持ち──
もしかして、ユキが少し疲れてしまって
みんなに会えない時間が続いたら
同じくらいさみしがって──
待っていてくれる人がいるでしょうか。
麗お姉ちゃんは、お風呂に入ってからでないと
恥ずかしくてみんなの前に出られないなんて言っているみたい。
そんなのいいのに!