観月

『探求』
いっぱいのおいしいものと、
小雨姉じゃののどかな寝顔。
あとは、ここに小さい子の歓声と
笑顔があれば──
秋の日はもう他に何もいらない。
言うことなしじゃ!
お庭を歩くだけで
緑の蔦で遮られていた通り道や、
茶色の落ち葉が重なり合って導く細道──
あのまぶしい真夏から
あっという間に景色は変わり、
あたりはもう
地を踏みしめ、坂道を上るのが好きな
小さな子供たちを待っている。
ちょっと怖いときがあったら
兄じゃと手をつないでゆくのじゃ。
気になる
あっちのほうも、木立の間も──
たけの小さい子供たちがくぐっていく枝の下も、
兄じゃを呼んで、同じ道を踏み固めて
一緒にその先を見たいのじゃ!
細い道で
通りにくいからって──
あんまり遅いと
置いていかれてしまうぞ!
きっと、先のほうにある
何か見たことのないものや、
まだ出会ったことのない
おばけや不思議なものを──
子供に先に取られてしまうぞ。
そうなったら
もったいないから──
このごろお天気がよくいたずらをする中の
こんなに珍しい
ぽかぽかの日に、
額にちょっと汗をかいて
息を切らしても──
ちっちゃくて、すばしっこい子を追いかけるのじゃ!
ある日、おなかいっぱいになったら
また小雨姉じゃがうとうとしているのを見ながら──
大きな声でよろこんで
わらわがお庭を目指して行く。
もうすぐ──兄じゃが追いかけてくるに決まっておるのじゃ。