綿雪

『雨の後』
大きな風の音が
子供たちを怖がらせた
長い夜の過ぎた後──
今日も雨が降ったりやんだりで
落ち着かないお天気ではあったけれど、
お庭の水たまりも
次第に消えて──
どうやらいつもの日常が
戻ってきた気がします。
お出かけや買い出しはまだできないけれど
飲み物をもって縁側の方の椅子で
外を眺めたり──
窓を開けて、優しい風の中で
小さい子に絵本を読んであげたり
もう、したいことは
なんでもできるの──
過ぎてしまうと
このあたりは
あまりたいしたことがなくてよかったですね。
あんなに怖ろしい音がしていたのに──
夜が明けてしまえば
まるで、秋の夜の全てが幻だったような
しとしと雨の日。
夕凪ちゃんのおまじないが
とてもよかったのでしょうか。
それとも、みんなで
協力して
何事もないように備えた準備のおかげかも。
あるいは、まさかまさか
ユキたちみんなのいるところに
いつも暖かくて
幸せなことばかりを抱えて
一緒にいてくれるような──
ユキの大好きなお兄ちゃんは
台風にも強いの!?
なんちゃって。
えへへ──
台風の後は暑くなることも多いけど、
このくらいの穏やかな日が
ユキにはちょうどいいです。
大変な日を乗り越えたご褒美の
静かで何事もない──みんなで過ごせる日でしょうか。
あ、でも
いざという時に備えて買い込んだ食材を使えるようになって、
今日はキッチンのほうが忙しいんだって。
呼ばれたらお手伝いに行かなくちゃ。
くもった空から
ぽつぽつ思い出したように降る雨と、
たまにのぞく晴れ間。
それは──大変な台風がもう過ぎ去ったあかし。
今日のユキは、ふつうの日を
みんなと一緒に過ごしています──