春風

『秋の予感』
夕暮れがやって来ると
ふいに──
とても昼間のうちは
想像もできないような
冷たい風が吹き始める。
私たち家族の住む街にも
秋が来て、
こんな風が吹く日を
よく知るようになるのだと思います。
あのぎらぎらした日が
なんだか寂しく、
切なく感じて──
でも、こんなに
一日の気温差が大きくて
毎日暑かったり肌寒かったりでは
おうちの子も
体調を崩してしまうかもしれないし──
おなかを出して眠ってしまう子だっていそう!
そわそわ──
このままではなんだか
寂しがっている場合ではない気も
してきます!
春風が見ていてあげないと
無茶をする子もいそうだし──
でも、春風だけでは
あまりたくさんのこともできないし
みんなを見守る大変な仕事も
うまくいくかわからないし──
どうしよう!?
センチメンタルな小さい秋の気配が
すぐそこまでやってきているというのに、
春風の気持ちは
どうも激しいまま──
じっとしていないで、
あまり静かな季節を迎えるのを
待っているようでは
ありません。
うーん、昔からそうだったかしら?
年を取って心配性になったのかも?
それとも、守る人が
増えたことで──
春風もだんだん変わっていったというの?
まあ、考えても
落ち着くわけではないし──
薄着の子がいないか
きびしく見て回る方が、
春風は落ち着くかもしれないわ。
誰も風邪なんか
ひかせたくないんだから──
うーん、でも、もしも
こんなにうるさい春風が
今度はもしも
守ってくれる人が現れて
全部身を預けてもいい時が来たら
また何かが変わっていくのかな?
──まあ、そうなったら
そうなった時の事。
今はまだ──
そんな春風を誰も知らない。
やがて来る時を
待つだけ──
きっと、これから長い夜を過ごすことになる秋には
読書とか
芸術とか運動ではなく──
落ち着きがなく、
何かを待ちきれず、
いざとなったら自分から迎えに行きそうな
そんな秋。
静かで少しだけ意地の悪い寒さの風が頬を撫でる季節が
もうすぐ──やってくる気がします。