海晴

『寒さに負けず』
ひな祭りが終わり、
お祭りのきれいな服を脱いで
今日はみんなが動きやすい服に着替え、
お雛様の片付け。
少し風は冷たく
雲もかかって
体の温まる甘酒はありがたい。
寒い日もあるけれど、
春はすぐそこまで近づいているんだから
焦ることは何もない──
すぐに大きくなれないとか、
女の子らしくなるまでまだまだ──
なんてことを悩んでいたって仕方ない。
きのうはそわそわしていたヒカルちゃんだって
こんな日は大活躍するのだから、
誰にだって輝く場所はあるし、
ひな祭りのお人形はそれを見守っているわ。
しまわれるその時までいい笑顔!
優しい顔のお雛様にお願いしたから
みんな幸せになるに決まっている──
きのうみたいに豪華な
着物風のコスプレやピンクのドレス風ワンピース、
食べ物をこぼして汚れることだって
たくさんあったな──
そんなに毎日着ることはないけれど、
ついに三月、
みんなで春を迎えようとしているの。
やっぱりおしゃれは
してみたいし──
久しぶりにミニスカートもあらわれる。
薄手の服に
柔らかな色合い──
雛人形の片付けの合間に、
新聞のチラシや
春物を紹介する雑誌が
みんなの手を渡って──
そのたびにくすくす声がしている。
春に挑戦してみたいことが
みんな、いっぱいあるみたいね。
暖かかったり
また寒さが戻ったり、
そんなにすぐには
たくさんの願いは叶わないけれど、
私たちはみんなで
ようやく冬を乗り越えようとしている。
こんな時に、油断して
すぐ薄着になる子がいないように
注意していないといけないから大変ね!
キミもけっこうわんぱくだから
目が離せない!
いったいどんなに
明るく春めいた格好になっていくのやら、
寒そうじゃないか確かめる、
ということにして──
お姉ちゃんは、かわいい家族と一緒にいなくちゃいけないな!