『人類はまもなく』
未来のことは誰にもわからない。
思いもよらないことが
突然前触れもなく
やってくるとしても──
心の準備をする余裕もないほどに急であったのか、
充分なデータをもとに予測しながら──その日を待ったのか、
過去を振り返る者だけが記録を残すことができるのだ。
渦中にある者は──
ただ、翻弄されるのみ──
確かなことは、
ひとつだけ──
この宇宙のあらゆるものが
やがては滅びる
その定めのみ。
私たちは、多少の時間を稼ぐ抵抗が可能なのか
今にも失われる存在なのか
それさえも今は──この世に知る者はいないのだ。
であるならば、確かに存在する
今この時だけを見つめて
真剣に向き合うことしか
私にはできないのだろう。
他の誰が
別の行動をとるとしても、
今ここにいる──この私は
どうしてもそうなのだ。
たとえば──
大切なことに思いを馳せて、
いちばん、今やっておかなければ
後悔を残しそうなことを優先して
この場所に存在を続けるのも
滅びる定めの人間のひとりが選ぶ行動としては
別におかしなものではないだろう。
だから思う──
みんなとの楽しい時間を思い返しながら、
私にとってゲームとは?
好きな食べ物は?
一番好きなのは
何者か──
今ここで
滅びる定めの生き物としてあるために。
疑問と向き合うことが
はたして消え去る運命への抵抗なのか、
それとも──まっしぐらに目的地の終わりへ向かうロケットなのか
今は知る者はいない。
過ぎる時間を生きて行ったものだけが──後に語る権利を持つのだろう。
それは私なのか、
あるいはオマエも今の私を見て
未来に伝える教訓を得るのか。
何もすべては──もう少しサボってごろごろするための
長い理由づけではない。
できれば──こたつを出ておいしいものでも取りに行く力の
源になればいいと考えているくらいなのだ。
どちらになるかもわからない──そんな、人間の日々の営みを
今日も過ごしているという話なのだろう──これはただ、そういう話なのだと思う。