星花

『キッチンのこと』
麗ちゃんはすごい!
努力してるし
真面目だし──
頼りになる!
よく、星花と夕凪ちゃんは
力がありあまって
はしゃぎすぎるの。
みんなに食べてもらいたい
ホットケーキの粉を
たくさん混ぜたら、
焼いても減らない──
ホットケーキの種が
バニラのいい匂いをさせて
お行儀よく並び、
焼かれるのを待っているのに
料理人たちはというと
汗をかいてへとへと、
息もたえだえ、
見守る小さな
妹たちも──
みんなの分のお皿と
かわいいカップを用意して
固唾をのんで待っている。
こんなにたくさん
できあがったら
食べ放題なのに、
一体だれが作り切れるのだろう──
そこに颯爽と現れたのは、
最近、みんなの体を考えて
お料理を教えてもらっている麗ちゃん!
手際もよく
はりきりすぎた工程の無駄も少なく、
やがてテーブルは
できあがったおやつで埋め尽くされる。
麗ちゃん、ありがとう!
星花もそのうちお料理を習おうっと。
めでたしめでたし。
おしまい。
──
実は、その続きがあるの!
おいしいものをすっかりたいらげて
おなかいっぱいになった子供たちの前に
姿を現したのは、
バターとシロップでべとべと──
卵の殻や泡だて器が並んで
洗い物の手をはばむ
ものすごい片付けものの山!
こればっかりは、
麗ちゃんでもどうしようもない、
時間をかけて
できることからやっていくのが唯一の解決策だと
元気が出たみんなで話し合ったところに、
帰ってきた海晴お姉ちゃん、霙お姉ちゃん、春風お姉ちゃんたちの手で
すっかりきれいに片付いたの。
ひとつ大きい麗ちゃんでもすごいなら、
もっと上のお姉さんには
もはやできないことなんてない──
お兄ちゃんも、力仕事を手伝って大変だったでしょう?
星花たちのありあまる体力は、
次に肩もみのターゲットを探しているところです!
お兄ちゃん──試してみる?