海晴

『寒い日は』
わーっ!
毎日寒いね。
こすり合わせる指の先、
霜を踏みしめて歩くつまさき、
耳から鼻のてっぺんまで
何をするにも
海晴の体は端っこから
だんだん凍えてしまっている。
なんとかしなきゃ!
厚着をして
ホットコーヒーを求め、
ラーメンをすすり
毛布を頭からかぶっても、
寒くて
何もできないし!
わりと効果的なのは
あーちゃんや小さい子たちをだっこして
ぎゅっとしていてもらうことだけど、
どうしたってそういつも
私のためにみんなにじっとしてもらうのは難しいし、
やっぱり抱っこしたままでは動けないし──
キミはどう?
寒い思いをしていない?
やっぱりあーちゃんや
小さい子たちを抱っこして
日々を乗り切っている最中なのかしら?
休日ならまだいいけど──
私たちの学校の授業は
あーちゃんたちには
やっぱり退屈すぎるかもしれないね。
お天気お姉さんを継いでくれるかも
まだわからないし──
ああ、こんなに
寒さをしのぐという名目で
ぎゅうぎゅうしていてもいい時期だというのに、
いつもそうしてばっかりはいられないの。
なんとかして
他にあったまる方法を見つけなくては。
はっ、そうだ!
いつでもどこでも持ち運べる
かわいいきょうだいの心温まる姿をデータにして
スマホに入れておくという名目で
かわいい動画をたくさん保存しておけば、
いざというときに胸が熱くなるような元気が湧いてくるかも──
あ、でも
動画は嫌がる子もいるから──
無理はなかなか言えないわよね。
ぶるぶる──
私のステキな弟くんの姿が
せめて写真や動画でも持ち運べるなら
冬も何にも怖くないかもしれないのに──
私のほうから強くは言えないわ。
そういえば春風ちゃんも
少し寒そうにしていたな──
いつも台所仕事で大変そうだもんね。
こうなったら、協力して悪だくみ──じゃなくて
なんとかして厳しい冬を
元気に乗り越える相談でもしてみようかな。
何か──
一人では思いつかないような
いいアイデアが浮かぶといいんだけど!