『アイラブ』
夜は暗く
冷たく長く──
この宇宙で孤独に浮かぶ
寂しい星には、
冬の日々を
身を寄せ合うことでしか
過ごすことのできない
小さな生き物たちが──
どうにかこうにか
この日まで乗り切ってきたというのに。
お正月が終わったという
ただそれだけの理由で
人々は北風の街へ歩みだす。
どうしても
行かなくてはならないのか──
でも、寒さか興奮か
赤く染まった頬と
じっとしていられないように
足踏みする動きと、
透き通った空気に遠くまで見渡せる
一月の風景を見つめる
あの瞳に──
私は何も言えなくなって
その背中を送り出すことしか
できなくなる。
新しい年はやって来て
見えない力で人をどこかへ進ませて
家の中はほんのひととき、
いつもよりも寂しく冷たくなったようだ。
果てしのない宇宙から見れば、
星々の営みからすれば
瞬きとも表現できるかどうか、
あたためあった楽しい日々は。
そしてこれから
それぞれが過ごす時間は──
だけど、まだ外は寒いから
お正月が終わったからといって
急に張り切ることもないと思う。
体を大事にして、
ゆっくりあたりを見回して、
宇宙が過ごす
刹那のような時の中へと歩めばいい。
あわてる理由の何もあるものか──
私の家族たちが、ふさわしい新年のはじまりを
迎えられることを祈り、
寒くなったら帰ってくる場所があることを伝えればいいのだろう。
いや、そもそも
本当にお正月は終わったのだろうか?
あまりにもあっけないとは思わないか?
おしるこは今もおいしいし、
外は寒いじゃないか。
もしかすると
私だけが──
もう少し家にいてのんびりしていい理由を
見つけ出せるのではないか?
あんなに良くしてくれたお正月が
もう少しお土産を残してくれると考えるのが自然ではないか。
そうでないほうがおかしい。
こたつの暖かさがそう言っている気がする──と思う──たぶん──
あーあ、もう少し冬休みが続けばという純粋な願いも
毎年叶わないまま終わるのはなぜだろうな──