『おでかけ』
別に──
新年初めての
家族そろってのお出かけに
気合を入れて用意した
この日のための特別な外出着、
というわけではなく
いつも通りの
出かける時は少しおめかししなさいと言われ
合格ラインにOKが出るくらいの
よく着ていく服。
みんなそう。
だけど、なんとなく
身が引き締まるような寒さと
何が違うかはっきりと言えない
どこか新年の雰囲気が
気分を新鮮にさせるし、
特別な日の装い、と感じると
みんなは言うわ。
あなたもそうなの?
いつものスーパーに
ただ、お正月の三が日に
出かけるというだけで
新しい年を占うような
心地の良い緊張があるとか
ないとか
よくわからないとか──
だいたい、私たちくらいの年だと
子供みたいにわがままも言えないし、
かといって強いことも言えないから
都合よく小さい子の世話を
押し付けられがちで
自由な買い物なんてとてもできない。
少しばかり
おめかししたって
それにふさわしい優雅な外出なんて
そうあるわけはないのにね。
家で一人で過ごすことが許されないならば
せめて少しくらい電車で遠出しても──
なんて。
私が行ったところで、通る意見ではないけどね。
新年そうそう
現実は訪れる──
ただそれだけの話。
みんな、欲しいものは
見つかったのかしらね。
手の届く値段で買えたのかどうか──
私の知っている限りでは、
家族で分け合うくらいの大きな袋に入った
お菓子の獲得には成功したそうよ。
だから新年の初売りミッションは
大成功というわけ。
よかったわね。
それはいいけど。
寒い日で体が冷えたら
ホタ姉さまが帰った後ではちみつ入りの暖かい飲み物を
作ってくれるって。
ああ、よかった。
寒い中で
かわいい服を選んでくれるって言われても
うれしくはないし。
来年のお正月には、
家にこもって暖かいはちみつレモンだけ飲んで過ごしてもいいじゃないって
提案してみるわ。
どう?
あなたも味方をしてくれるわよね?
来年も、再来年もその先も
協力をしてもらわなきゃ──
有意義なお正月の過ごし方を
姉さまたちにわかってもらうには
地味な活動が必要になるはずだもの──
ああ、せめて、あとわずかな冬休みは暖かくして過ごそうっと。
もうばたばたする出来事なんて何もないといいけど──