氷柱

『宇宙の果てまで』
いいわよね!
やっぱり、人を輝かせるのは
筋肉。
見て、ユキのあの二の腕!
きのうはがんばったんだって。
一日でそう変わるわけがないことは
わかっているけれど、
そこは心の目で見れば
ぜんぜん違って見えるでしょう?
と、冗談はこのくらいにして。
ユキは体が弱くて
周りに迷惑をかけないか
気にしがちだから──
自信が付くことならなんでもさせてあげたいし、
そうすれば──
他の誰でもできないすごいことだって
たくさん知っているって
周りに伝えるのだって得意になると思うわ。
寒い季節が来て、
人より少し気を使うことが多くても、
それでも──
がんばっている自分が
あの子を支える力になるなら、
リングの押し込みが
一回でも十回でも、
私は応援して、
そして嬉しそうに報告してくれるのを
ずっと待っているんだから。
だんだん寒くなってきて、
この間はヒカル姉様がいなくって
みんな少し寂しい思いをしたでしょう。
大変な冬を乗り越えていくことも、
そして、それから先の
今は私にもわからない色々を
乗り越えていくことも──
ちっとも簡単じゃないし、
協力しながらやっていくのがやっとだし、
それに──もしかしたら
どうしても体調を崩す時だって、
大変な時だってあるかもしれないし。
でも、うれしそうに
体を鍛えた!
きのうより──
ちょっとできるようになったって
教えてくれる笑顔を見たら、
私だって
簡単なことばっかりじゃなくたって
よかったな、
ありがとう、
もしかしたら
どこまでいってもうれしいことばっかりなんじゃないかって
そう思わせてくれる
笑顔なんだもの──
下僕もちょっとは鍛えないと、
ユキにあっという間に追い越されてしまうわよ!
本格的な冬はいよいよこれから──
できれば──こんなふうに
胸の中がいっぱいになる気持ちを
忘れないでみんなといられたら
きっと幸せだと思うわ──