『おめでとうのシーズン』
マリーちゃんは11月9日で
霙姉さまは11月11日。
まあ、家族が多いと
お誕生日もそこまで年に一度のイベントという感じは
あまりしないけれど、
この機会を逃さないとばかりに歌って踊る
陽気な人も多いの──
そして、話はそれで終わらない。
静かな日々が戻って来るのかなと思っていると
どうもそんなことはなく、
商店街の福引で
三等賞はお米10キロ!
そんなにいいものが
当たったりしたら──
踊りだす子がいたって
仕方ないというのが
この家の姿なの。
よそは知らないけど──
こういうものなのよ!
日頃の行いの良さに自信ありの
ラッキーガールたちが
腕を競い合った結果、
ついに福引を当てたのは誰かというと、
海晴姉さまに抱えられた
あさひちゃん。
無欲の勝利と呼ばれるのがあれなのね。
あとはなんだか
知らないけれど
テストで100点おめでとうも、
補習回避おめでとうも、
体育のかけっこ一番おめでとうも、
夕食にハンバーグが出てきておめでとうも、
アームツイスト1000回達成おめでとうも、
思えば少し前までハッピーハロウィンだったはずが
もうすぐに年末年始のイベント続き──
どうも、こんなに歌って踊る理由が
見つかる様子だと、
我が家だけではなく
世間は私が思っているより
にぎやかで脳天気な
お祭り好きが多いのではないか?
ことあるごとに歌って踊る理由を探しては
食べてはしゃいで
誰かの手を取って──
なぜかしら。
家の中だけでなく
町中がクリスマスの準備を始めたような
そわそわする感じが
そう思わせるということなの──?
一日ごとに商店街で増え続ける年末年始の気配。
物置から押し寄せてくる冬服に交じって
浮かれた笑顔のおもちゃが運ばれて──
クリスマスプレゼントの話し合いを耳にすることも増えたわ。
欲しいものがもらえるのかどうかは
サンタならぬ私には想像するしかできないけれど、
そうね──
今年も年末の準備の段階から
おめでとうの声は絶えないで続く──
一年の終わりまでずっと何かを見つけ出して続く。
そんなふうになりそう。
また少しの間、
どこからか歌声が聞こえる
落ち着かない日々がやって来るわね。