さくら

『また来年』
くすん。
たのしいあそびは
あっというまで──
おいしいものは
すぐなくなってしまう。
ゆめのように
たくさんあった
かぼちゃも
のこりすくない。
はたけでとれたら
とってもうれしい
おまつりをひらく
かぼちゃだけれど──
はたけでとれるまで
いちねんかかったの。
おていれをして
むしをおいはらって
はたけいちめんの
みどりのかぼちゃ。
おうちでも
いっぱいたべたね──
ケーキにプリンに
パイにタルトにスムージー
かぼちゃのあまさは
おかしのために
あるみたい──
だけど、そろそろ
おうちのかぼちゃも
すくないよ。
しばらく
ケーキもプリンも
パイもタルトもスムージー
かぼちゃははいりません。
まだまだ
たべたいきもちだったのにな。
このよにかぼちゃが
できてから、
おいしいかぼちゃを
たべたいだけたべたひとは
いないにちがいない。
みんながすきな
かぼちゃだもの──
かぞくでわけて
こどもには
ひとさら。
おかわりも
いっかい。
お兄ちゃんが
ひとくちわけてくれるのも
すぐ
なくなっちゃう。
わけてもらうの
たのしいのに──
これからは
のこったかぼちゃは
にものやおほうとう
かぼちゃカレーに
なるというの。
それなら、
まあ
いいか──
お兄ちゃんは
ケーキをもっと
たべたかった?
それならさくらとおなじ!
らいねんまで
よいこでまてる?
それなら
さくらとおんなじなの!
はたけのかぼちゃは
またらいねん、
おおきくなって
みどりになるまで
じっと、ねむっている。
よくそだつのをまっている──
お兄ちゃん、
かぼちゃカレーも
すき?
さくらにひとくちくれる?