夕凪

『あついおもい』
パンチだ!
キックだ!
夕凪のこぶしが熱く燃える。
情熱まんたん、
フル充電状態の
夕凪が始める今日のお手伝いは──
皿洗いに
草むしりに
お風呂掃除。
がんばる!
でも、雨が降ってきたから
草むしりはしないでいいの。
ええっ!
すっかりお手伝いの気分だったというのに
どうしよう──
仕方がないから廊下の雑巾がけだよ。
気が付いたらいつの間にか汚れている。
夕凪も雨の日は
どろだらけで帰ってくることがあるからなあ。
そうして拭いていたら
氷柱お姉ちゃんがやってきて
あら珍しい。
悪いものでも食べたの?
だって。
ひどーい!
がんじょうな夕凪は
悪いものを食べたくらいで変にはならないよっ。
じゃなくて。
あるいは気の早いハロウィンの怪物であろうか──
まるで何かが夕凪にとりついたかのよう。
だという。
そんなに──?
いつも、言われたお手伝いは
それなりにこなす夕凪だって
お兄ちゃんは思わない?
いったい
今の奇妙な態度、
夕凪にとりついて動かしているのは
神か悪魔か。
おばけかばけねこか。
食べきれずに残したお魚のうらみか──
じゃあ、雑巾を洗いに行かなきゃ。
汚れたついでに
トイレによって掃除もしておこうっと──
いってまいります!