吹雪

『もっともっと』
にゃんにゃん
るんるん
♪──
──
氷柱姉の使っていた太鼓は
急に力をたくさん加えたのと
無理に引っ張り合ったりしたので
調子が悪くなったようです。
夕凪姉はがっかりして、
星花姉は慰めて、
ユキはある時見たことがあると
思い出したものの話を
はじめました。
どこかで見た
とある押し入れには
歌の楽譜が山になって埋もれていて、
それを見ながらみんなで
歌うことができないかと──
太鼓をたたくのと同様に、
音楽理論を知らずとも
誰でも歌うことはできます。
キミは疑問に思いませんか?
単純な太鼓のリズムと比較して
歌詞を覚え、音程を学び
発生にはお腹に力を込めて──
複雑な手順でありながらも
小さな子供だって歌い方を知っているのです。
同じことを機械に覚えさせようとしたら
ある程度の専門的な技術を使って
長く地道な作業が必要になるはずです。
もしかすると──
あさひも青空も
私だって知らないうちに
地道な作業をしていただけかもしれませんが。
私は歌が得意ではないので
練習をしなければなりません。
ちゅうちゅう──
るるる。
そういえば、地震でできた隙間からも
何かが書かれた紙が見つかったようですが
昔の文字で誰も読めないままになっています。
それも人間の残したものであるならば
歌である可能性はある──さて、どうでしょう。
人が歌を好きであるらしいのは
私の家族を見ていてもその傾向が見つかるのです。
歌詞、
音程、
リズム、
また練習──
ユキからも夕凪姉からも星花姉からも
みんなから教えてもらいながら、
上手くなっても下手なままでも変わらず
私はどうも歌を歌わなければいけなくなっている状態に
あるようです。
地震が原因なのか──それとも人間に生まれたことだけが理由なのか。
私の歌は
今のところはまだ、まったく上手とは言えないままです。