観月

『出会い』
黒色、
灰色、
茶虎の子と
親のキジトラは──
海晴姉じゃや春風姉じゃが友達に
声をかけて回ったのが良かったようで、
すぐに里親が見つかって
もらわれていったのじゃ。
さすがは高校生ともなると
相談できる人も多くて
友達もいっぱい。
歌に聞く友達百人とは──
そんなに大げさでもないようじゃの。
兄じゃもやっぱり
百人で富士山に登ったり
おにぎりを食べたり
笑ったりしたことがあるかの?
出会いはいつも
新しい発見があって
うれしいものじゃ──
お友達だけに限ったことではない。
かわいい猫たちと別れたみんなも、
きのうまで眺めていたときの
鳴き真似を比べて遊んだりしておるぞ。
みんな上手で──
明るい声がして楽しいものじゃ。
それに、地震で少し隙間ができた
物置の荷物の間に──
誰も知らない古いお人形の箱が隠れていたのを
持ち出していったと聞くぞ。
きれいなお顔と
長い髪。
おままごとにも使えるかの。
しかし、ママもそんなものがあったのを知らないと言うが
猫でもあるまいに
いったいどこから入り込んだものやら?
おまけに、今度の地震では
そんなに物が動くほどではなかったのに
なぜか見知らぬ箱のあたりだけが
まわりと比べて不自然に崩れていて
しかも──
いや、どんな出会いも
何かの意味があるのだろう──
不思議なおもちゃを兄じゃが見に来てくれるところを
わらわが背後からとびかかって
のがさぬ!
ということもあるかもしれぬ。
そうなれば面白いからの。
今日もにぎやかな子供たちが
じっとしていられずに遊びまわって、
ときどき遠くから悲鳴のようなおたけびが聞こえるほどじゃ。
やがてみんなはどんなふうにゆかいな出会いを経験するのであろう。
その楽しい日々を見るときまで、わらわも自分の身くらいは自分で守りたいと思うぞ。
地震……? ああ、そう、そのことじゃ。