星花

『大きな地震
だいぶ揺れましたね!
今日はみんなのかわいい
おやつの取り合いや、
じゃんけんと指相撲の戦いを
日記にしようと思っていたけれど
それどころではないようです──
わがやは全員無事でけがもなく、
怖がって泣いてしまった子も
お兄ちゃんのそばですっかり安心して
今は何もなかったかのように
穏やかな夜を過ごしています。
ひとまずは落ち着きましたね。
お姉ちゃんたちのお話だと、
明日の朝は早めに起きて
倒れたものがないか、
落ちて割れたガラスみたいな危険がないかどうかを
確かめてまわることにするとか。
子供には任せられない
大事な仕事なんだそうです。
そうして土日はもう一度、
安全の確認と避難の準備をみんなですることに
なりそうです──
きっと、今日は怖がっていたさくらちゃんもユキちゃんも
怖い地震に備えるためならばと
みんなを引っ張って、張り切って活躍してくれることでしょうね。
こういうときは──とても頼りになるんです。
それにしても、先月には防災のお話をして
それぞれのお部屋からの避難経路も
指をさして確認したというのに、
実際に地震が来た時には
とっさに身を守る理想的な行動というのは
なかなかできる人は少ないみたい──
子供たちは慌てて
いつも頼もしいお兄ちゃんのところへ
急いで駆けて行っては
震える手を伸ばして──
しっかり握ってもらわないではいられない。
何事も冷静に対処するなんて
私たちの誰もできないみたいに
わいわい大さわぎ──
お兄ちゃんも大変だったでしょう?
このまま、安心してゆっくり眠るというのは
なかなかできないかもしれないですけれど
いざとなったら
今は少し落ち着いた星花がいるから安心してほしい──
というのはだめですか?
みんな、お兄ちゃんのお部屋に布団を持ち込んでしまって、
でも、いざという時の安全確保と避難についてはしっかり聞いてくれました。
だから大丈夫だと思います──
明日もきっとみんなはお兄ちゃんのそばで
安心したいと思うの。
ちょっと──騒がしかったらごめんなさい。
大変だった時間も落ち着くものです。
どうか今夜はゆっくり休んでください──