『永遠の誓い』
人の命は塵のように儚く──
存在とはいつも不安定で
この宇宙に確かなものなどなく──
だから私たちは
どんな悲しみもひとときのことだと
慰めながら
日々を過ごしていく。
でも、もしも
科学が発達したその先に、
私が灰になって消えた後も何も変わらず
人工物の中に同じ人格を作って
家族と過ごすということがあるのかもしれない。
私は消えるのに
私は残る──
ややこしい話だ。
オマエはやがて未来がそうなっても
私をそばにいさせてくれるだろうか?
私は未来がそうなっても
オマエのそばにいるのだろうか──
今、塵と等しいこの肉体が感じている幸福は
肉体とともに消え去り
別の存在がまた同じように幸福を思うだろうか。
愛する家族と過ごす喜びを
変わらず感じ続けて
やはり変わらず、伝えようとしているだろうか──
でも、聞いてみても
それが私と地続きの人格だというなら
はぐらかしたり面白がったりして
ちゃんと答えないかもしれない。
なにしろ私だからな。
困ったことだ。
たまには素直になればいいのに、
なんて厄介な性格だろう。
そうなったときに
人をからかっても困るから
仕方ない──
今のうちに言っておこう。
私がいつか消えて
また別の姿になったり
違う存在に変わったように見える
そんな時が来ても──
一番大事な
愛する人は
今と一切何も変わらず、
愛は続く。
宇宙の隅の小さな塵のような存在の
胸の中にあり続ける、
塵に等しい私にとって抱えるのが大変なほど大きな感情は
長い時も見かけの違いも環境の変化も
何も変えることができず、
ただ日々を重ねることを
幸福と思うだろう。
愛とともにいるのならば──
今と何も変わらず、そのままに。
ところで、みんなは夏休みの終わりの準備を始めたようだ。
今のうちにできることをなるべく早めに済ませようと
工作をしたり読書をしたり家事をしてみたり
いろいろだ。
私もオマエたちと過ごす夏休みを楽しむことを
今のうちに存分に味わい尽くしておこうと張り切っているところであり、
そして──この楽しい毎日が終わったとしても
きっとその後もまた
からかったりいたずらをして
何か面白いことを探しているのだろう。
何しろ今の私の地続きだから
いったいなにをしでかすか
わかったものじゃない。
まったく、困ったものだ。
オマエもちゃんと──この寂しがり屋を
注意して見ていないといけないぞ。
姉からの忠告だ。