吹雪

『私たちの家にはさくらがいる』
アイスがすぐになくなってしまうと
不満を持つ子は
少なくないようです。
なにしろ、食べ過ぎるとおなかを壊すのだから
誰かが一人で大量に消費しているわけではない。
ではなぜ……?
大家族の家庭では永久に解けない謎として
いつも話題に上がります。
世の中にはわからないこともあるのかもしれません。
それはともかく。
アイスがない──
そんな経験をした子供が
一度は必ず考える
既定のルートは、
自分で作るというものです。
さくらもついに
ホタ姉におねだりをして
作り方を教えてもらい──
先ほど冷蔵庫に入れるところまでは
完遂したのを見ていました。
自分で納得がいく分量を
たくさん作れるのも
動機の一つではあったようですが──
手作りの場合なら
好きな味を好きなだけ
用意できるのも魅力を感じたと言っています。
バニラ味、
いちご味、
マンゴー味、
さくらの好きな味の手作りアイスが
できあがる時を待って
冷凍庫の中で良い子にして並んでいる──
でも、アイス作りで
一番大変なのは
待っている時間だという話もあります。
たとえば、ある日
書店で見つけた本を持って
帰る途中で──
バス停の待ち時間に開いてみることだってあるでしょう。
冷蔵庫の前に椅子を持ち運び
まるでアイスが出来上がる瞬間を見極めるかのように
目を離さないようにしているさくらが──
待ち続ける時間は
どれだけ長く過酷に感じることでしょうか。
出来上がったら、本人の味見の後に
一口もらってみましょう。
さくらにもあげたことがあるので──おあいこです。