氷柱

『後日談』
その後、どうなったかというと
私たちの素敵な王子様は
冷蔵庫に入りきらなくて困っていた分のレモネードを
おいしいおいしいって
ガッツで飲み干して
胃袋パンパン、
見事におなかを壊したという。
めでたしめでたし。
……
いや、何してるの!?
誰かが泣いているところへ
さっそうと駆けつけて
解決してあげられる立派な人間を
夢見ているのかもしれないけど
柄じゃないんだから無理しないほうがいいと思う。
結局、人を心配させるだけの
だらしない王子様──
間が抜けているのは顔だけにしておけばいいのに。
そんな人にもいいところがあるとしたら
具合が悪くて寝込んでいるところに
さっそうと駆けつけて
いつもの顔をも上回る
あまりの間抜けさに言葉もなく
怒りに任せて熱いおかゆを顔に押し付けようとする
優しい家族がいることくらいかしら!
まあ、その子はあなたのことを
王子様と呼んだりはしないみたいだけど──
やがてまた少し時間が過ぎ、
それからご主人様は
どんな経験をしたのかというと、
やっぱり優しい王子様には
優しくお世話をしてくれる素敵な妹がいる、
神様はちゃんと見ていて
私たちを家族にしてくれたんだって
頬ずりをされながら
とてもどんな顔をしていいのか思いつかない
稀有な経験ができて
とてもよかったのだそうよ。
あなたもあんまり
妹にこんな複雑な経験はさせないように
自分の体は大事にすること!
おわり!
寝てなさい!