星花

『正体』
ちゅるる
ちゅぱっちゅ……
どうやら春風お姉ちゃんは
元気になってきて
今日からみんなの前に顔を出して
くれたのだけど──
お兄ちゃんも
きっと気付いていたのですね。
そう、春風お姉ちゃんの
魂を吸い取り
自分のものにしようとしていた
その黒幕こそが
たぶん星花だったのでは
ないかな?
ということに──
春風お姉ちゃんはいつも優しい。
だから星花は
昼も夜も
春夏秋冬も
ずっと甘えて
うれしくなってしまう──
一緒にいようとしたがってばかり。
実は、これから夏にかけて、
残さずちゃんと食べてもらえるか
元気でいてもらえるか
星花も心配──
食べ物が傷みやすい時期だから
作りおきで手の込んだことを作るのも
なかなか大変。
そうなれば必要になって来るのは
人手です!
星花はちっちゃくて
背も低いけど
それでも、春風お姉ちゃんの妹で
お兄ちゃんの妹。
大事な家族がたくさんいるきょうだいの
育ち盛りのひとり──
できることだって何かあるはずと
暇を見ればお料理を教えてもらっていたのが
負担になっていたのかも
しれないの……
味見も一生懸命
すすったり
お皿をなめたりも
してしまったこともあるけれど──
でも、今日だけは抑えて。
今日は星花は
下働きに徹して、
まだ全快ではないかもしれない春風お姉ちゃんを助けられたらと
思います。
やるぞ!
夜もだんだん蒸し暑くなって
ぐっすり眠れない時間が増えると──
眠りも浅くなって
夢を見やすいんだって。
一緒に薄手のお布団を何枚か出して、
重ねるようにして調節できるようにして、
寝巻も一緒に選ぶのが、
星花の今日のお手伝い。
うまくできたでしょうか?
いつもお料理のお勉強で
疲れて深く眠っていた
最近の星花も──
今日は少し体力に余裕をもって
そんなにぐっすりでもない──
夢を見る眠りに落ちるのかもしれないですね。
久しぶりの夢を見る夜は──
どんな気持ちになるんだろう?
誰かに話したくなるくらいの
おもしろい夢だったら、いいな──