春風

『ファンタスティック』
きのう見たのは
とてもいい夢──
いったいどんな夢だったのか、
ウフフ──
夢に出てきた人の目の前では
とても言葉にできません!
それともあなたが出てきてくれたのは
もしかして
そちらからやって来てくれたということ
なのでしょうか?
観月ちゃんから聞いたことがあります。
夢の中に出てくるのは
相手のほうが
こちらを思ってくれている場合も
あるのだと──
昔は言われていたのだとか。
もしも、そうだとしたら
私の王子様は
あの素敵な夢の中身を
全部丸ごと知っているということになってしまうわ。
いやーん!
はずかしい!
ごほっ、ごほっ。
むせてしまいました……
そういえば観月ちゃんは
他にも何か言っていたような?
あれは確か──
海の向こうの
遠くの国では、
望んだとおりのいい夢を見せてくれる
不思議な何かが
いるという──
それは、いいことをした子に
ごほうびをあげるとも
伝えられるし、
またある時は
夢で見た特別な感情を
ぺろりと食べてしまうのを
好むとも──
夢を食べられてしまった子は
日に日に弱って行き
やがては吸い取られた相手と同じものに
変わり果ててしまうのだとか──
ごほごほ。
──
ということは
春風は毎日いい子にしているから
ごほうびをくれるほうが
やってきたのかしら?
でも、あんな夢を毎日見ていたら
身が持たないかも──
どうしよう!