『アイアンマン』
ええっ!
海晴お姉ちゃんも
疲れることがあるの!
夕凪がお庭で走り回り
汗と埃でくしゃくしゃになって帰ると
ぱーっとお風呂の様子を見に行って
小さい子は両腕で二人くらい捕まえて
一緒に歌いながら
みんなの話を聞いてくれる──
しかも朝から
お天気番組!
学校!
うんどう!
お買い物!
自習で天気図を眺め
旅行のプランを立て
おいしいものを探してはリクエストをして
さりげなく夕凪たちに肩を揉ませては
おやつをちょっぴり分けてくれる!
その忙しさは
小学生の夕凪から見ても
目が回るよう。
大人ってすごい──
お姉ちゃんってすごい!
夕凪はすぐ遊び疲れて
まだお兄ちゃんと遊びたくて手をつかんだまま
そのへんで寝落ちするばっかりだというのに──
海晴お姉ちゃんみたいになっても
大変だというなら
おとなになった夕凪が
お兄ちゃんの手をつかんで
海に行ったり山に行ったり
歌ったり踊ったり
夜が更けても眠らないでいる
計画が──
叶うかどうかもわからない!
そんな相談をしてみると海晴お姉ちゃんは
夕凪ちゃんなら
きっとなれる!
どこで改造されたのか、
体が何からできているのかも不思議になるほど
人生を楽しむ
タフなお姉さんに。
その時はおいしいお店を見つけたら
連れて行って、
だって。
そうなると──
二十人のきょうだいみんなで入って
しかもおいしいというところを
見つけたいな!
あーちゃんも大きくなったら
よく食べそうな感じがするし──
いくらマホウ使いの子孫でも
夕凪はまだまだ
人生を楽しみつくすには小さな子供。
大きくなった日の夢が膨らむ
今日くらいは──
好き嫌いなく
海晴お姉ちゃんが仕入れた野菜だらけのメニューを
残さず食べたい!
と、願うときもあるのだった。
夕凪の今夜の夢よ、
叶え!
いつか大きな夢を叶えるために。