星花

『風は吹くのか吹かないのか』
勢いよく駆けだしていった
小さい子たちが
わーっと慌てて戻って来るのは
今の時期、
急に強い風が吹くから。
砂埃が舞い
髪が乱れて
助けてくれるお兄ちゃんに
いつもいてほしいのに──
思わず近くの子の手を取って
助けを求めてしまう。
なかなか遊びに行ける状況ではなくて
良い子にしているみんなには
おうちのお庭が遊び場なんだけど
これではなんだかかわいそう!
かといって
心配したところで
できることとなると
しっかりした小雨お姉ちゃんみたいに
おうち遊びのおすすめに
子供のための本を広げたり
お歌を聞かせ
折り紙の折り方を教えてあげること。
だいたいそのくらい!
風が吹く逆境にこそ
良いひらめきを得て
名を残し、いつまでものちのお手本となる
そんな子ではない自分なのは
残念ながら知っているのですけれど
得意ななわとびや
葉っぱを拾ったおままごとくらいしか
思いつかないのでは
星花は風の吹く頃には
あたふたするしかできません。
緑がまぶしく
きれいな花のある場所を
見つけて──
また来ようと今は立ち去るだけ。
やがて遊びに行きたい穴場だらけになっていきます。
今日も風の中で咲く花を窓から眺めるばかり。
くじけず文句も言わず──
元気いっぱいの小さい子たちもあこがれて眺めるほど
豊かな自然は
たくましい姿を見せるものですね。