ヒカル

『気遣い』
男の料理と言えば
豪快!
特盛!
そして濃い味付け!
プラス肉!
という感じだと
聞いている──
大きめに切った具材が目立つ
丼物や
ワンプレート。
見た目の華やかさもなくて
だいたい質実剛健
ソースかケチャップの色──
みたいな。
私が作る料理はよく
典型的な男の料理だって
みんなにからかわれるけど、
少しだけ盛り付けも考えるし、
そこまで言われるほどでもないと思うんだ。
でもまあ、何を言われても
みんながおいしく食べてくれたら
それが一番だ。
料理上手には程遠くても
できることは
あるからね──
蛍はたぶん
自分を守るために
怪我をさせてしまったと
少し気にするかもしれないけれど、
私だって子供みたいに
調子に乗って
間抜けなことをしただけ。
それがたまには
人を助けることもあるだけ──
よく氷柱や夕凪が
無茶な遊びをしてどこかをすりむいているのと
何にも変わらない。
まるで最初から一つだったみたいに
まるっきり同じ失敗をしているだけだ。
オマエの料理は──
そんなに派手に飾らない
わかりやすい男の料理。
うまく言えないけど──どこか
食べる人のことを考えている気持ちが
不器用に伝わってくるような。
フフ──
足をくじいた私の代わりを任せてしまったわりに
あんまり褒めていないようだけど。
黙ってみんなの前に並べたら
いったい誰が作ったのか
間違える子も──
いるんじゃないかな。
どこかで見た料理にそっくり。
まるで──
自分の手元で出来上がるまでいつも見ているのと
少しも変わらないみたい。
そう、まるで最初から一つだったよう──
まったくもう!
もう少し、料理が上手な家族が多ければよかったのにね。
器用さが足りない家系なのかな──
今日はどうもありがとう。
出来た料理がおかしくて
笑いすぎたせいで
足の痛みなんて吹き飛ぶってことが
本当に──あるんだよ。