観月

『スナップショット』
季節は巡り
お庭の眺めも
子供がゆかいに駆け抜けていくように
くるくる
ころころ
めまぐるしく変わっていく。
瞬きの間に
時は移ろい
何もかもは過ぎ去っていく。
美しく
記憶に残したい
このおうちの景色を
どのようにしてとどめよう?
絵を描くのか?
それとも歌で?
いや、とても追いつけぬ。
それではやはり
知恵の結晶──
人の身で作りあげることのできる
最新技術に頼るのが
一番であろう。
世界のどこかで
やはり同じ目的を求めたものがいて──
わらわの手に届いた。
運命を感じるのは
やはり、考えすぎであろうかの。
というわけで
お古の小さなカメラをもって
子供がお庭を走る──
時は春の日が変わり始めるころ。
どこまで駆けても飽きない
この時がついにやってきたのじゃ。
ほら見よ!
花じゃ!
虫じゃ!
木陰には──
もぞもぞする何かの気配じゃ!
ぜんぶ形にして
兄じゃに見せなければ
わらわは見てほしいものがいっぱいで
内側にふくらむ思いで
破裂するかもしれぬ。
夏の若草に
全てが覆われてしまう前に──
写真を一枚、
また一枚。
おもしろいものばかりを
ぱしゃり!
カメラの中身は──胸の中と同じではちきれそうじゃ。