『ミッシング』
きょろきょろ。
どこへ──
行ったのでしょうか?
おうちのかわいい
あーちゃんの姿も
泣き声もない。
いくらやんちゃで
元気いっぱいだからって
翼を広げ
空を飛んでどこかへ行くはずは
ないのだし──
小雨と曇り空、
それに少々の強い風。
冬物をしまった後には
少し肌寒い毎日。
あーちゃんを抱っこして
暖を取ろうと考えたら
誰かに先を
越されたでしょうか──
と思ったら
お兄ちゃんに抱っこしてもらっていたんですね!
安心した寝顔──
お兄ちゃんのがっしりした腕の中でなら
もう百年でも二百年でも
このままでいて全然かまわないとでも
言うような──
静かな寝息が聞こえます。
ああ!
あーちゃんを抱っこできる
お兄ちゃんもうらやましいけど
でも、お兄ちゃんに抱っこしてもらえる
あーちゃんもいいですね!
小さい頃から
お兄ちゃんがおうちにいたらなあ──
一つ違いでは
いくらたくましいお兄ちゃんでも
赤ちゃんの蛍を抱っこしてはもらえなかったかも
しれないけれど──
それでも夢はあきらめきれないものです。
蛍が赤ちゃんで
お兄ちゃんがいて
そして、蛍はいつもお兄ちゃんを探している──
あーちゃんが目を覚まして
お世話が始まるまで
蛍が見ることのできる短い夢。
幸せそうな寝顔のあーちゃんは
どんな夢を見ているのかな?
蛍もそんなに負けていない気もします。