小雨

『コールドライト』
暖かい日と
寒い日を行ったり来たりしながら
春は近づく。
今日は寒いほうの日でした!
このごろは
膝の上にのせて
読み聞かせをしようとしても
暑がり汗をかきながら──
勢いよく逃げていく
小さな子供たち。
ぽつんと日向に
取り残されて
寂しいのと、
確かにその通り
暖かいのが
わかるからと──
そのままつい
うとうと眠くなることもあります。
かと思えば
今日くらいには外の強い風が
どこかから家の中に吹き込んでくるような
びゅうびゅう激しいうなり声。
みんなの方から
小雨の膝におしりに集まって
どうしようか
困るほど──
長い冬の間、
こうして暖を取ることを
忘れないようにしていたんだもの。
もう少し寂しかったり歩きにくかったりするのでしょうね。
でも、よかった。
小雨があんまりつまらない話ばかりするから
逃げられるのかもと不安だったから──
植木鉢にやっと芽を出した
小さな緑のことだとか
繕い物のことだとか──
お兄ちゃんを遠くから
見つけた時のことだとか。
お兄ちゃんは──
小雨のこんなお話のことは
つまらないと思う?
しっかり根を張った
強い芽の
すごい力のこと──
それを見つけるたびに
新しい特別な発見をしたようで
小雨は感激して
いつも誰かに話を聞いてもらえるのが
うれしい──
困ったものですね。