『ティンクルスター』
もしも人生で
たった一度!
いちばんのお願いを
どこかで使うとしたら
いったいどこで!?
何に使う!?
つい最近、
ユキお姉ちゃまが
そんな話を聞いてくるから
きっとどこかで
使う予定が決まったに違いないわ。
一生のお願い──
それは
いつものわがままな
自分を捨てて、
明日も明後日も
その次も
ぜんぶぜんぶ何もかもを
だいたい我慢するから
全てと引き換えでもいい、
そんな気持ちで
聞いてもらう──
特別の中の
またさらに特別。
決して軽いものではないわ──
そうね、マリーが使うとしたら
せっかくの一度だけ、
どうしてもというところを選びたいわね。
何と引き換えにしても
ほしいもの──
お菓子の家だとか
空飛ぶ馬、
眺めのいい天を衝くお城に
どんなときも友達でいられるきれいな薔薇の一輪、
迷うものだわ──
お夕飯の献立を
一度だけお願いしてもいいけれど
お誕生日のプレゼントに
お夕飯の献立を一度だけお願いできる権を持っている子は
実は何人かいる──
すぐに使ってしまったマリーと違って
今でも叶うとは限らない
とても大変な戦いの場所よ!
ユキお姉ちゃまのお願いは何かしら──
もしもマリーとぶつかってしまったら
ああ──
悲しいけれど
さすがに激辛カレーだけは
良い子のマリーでも食べられないし
そうでないといいけれど──
辛口くらいならがんばるけど!
女の子はいつも迷い
決める時を探している。
世界をさまよいながらやがて見つける
一生のお願い。
マリーはいつか──
全てを賭けたお願いをする日が来るのかしら。
そのお願いをする相手がフェルゼンだったらいいわね──
どうか心の準備をして待っていてね。