氷柱

『凍った街』
寒さもいよいよ厳しく
風がびゅうびゅう強烈になる
今日みたいな場合
誰も外に出ることもできず
しっかり閉じた窓が震える音までおそろしく──
家の中で身を寄せ合って
過ごすしかないわ。
まだ寒い日が続くようだけど
このままでは買い出しに行けないで
とっておいたお菓子や
棚にしまい込んだまま忘れていた保存食、
なぜかたくさんあるチョコレートに至るまで
なくなってしまうのも時間の問題。
そうなったら少ない食料を
下の子たちに譲っていかないといけない場面や
おなかをすかせて取り合いになったり、
弾薬も不足し外部からの侵入も激しく
最後には追い込まれて屋上のヘリで脱出──
その時は立夏
チェーンソーを先に予約しておくんだって。
何か色々混じり始めたわね。
こんなに強い風なのに
春一番がまだ遠いなんて
なんだか嘘みたい。
手をさすったり
誰かの毛布に潜り込んだり
助け合ってなんとかやっていける日々は
もうすこし続きそう。
春の先触れになる
節分さえもまだやってきていないくらいだし──
いえ、今年は節分が一日早いから
もしかすると油断しているうちに
この家に訪れているなんてことも──?
考えてみたら
土日に寒くて買い物に行けなかったら
月曜にはなるべく準備をしておかないと
豆まきで張り切る我が家では豆の数が間に合わないかもしれないわ。
大変!
なんだかもしかして
ゆっくり家にこもり
たまには
ばたばた追い立てられて
思いがけず早いうちに
春は来るものなのかもしれない──
なんてね。
とにかく
寒い週末はなるべく外に出ない決まりになったわ。
わんぱくな子や
下の子のおねだりに弱い下僕が
約束を破らないか──しっかり見張っておかないとね。