さくら

『おとしもの』
うわーん!
うわーん!
……
さくらがまた
泣いている。
きょうはどうしたの?
さくら?
くすんくすん……
お兄ちゃん、
聞いてくれる?
さくらはかなしい。
でも、お兄ちゃんなら
ぜんぜん泣かないで
つよいとおもうの!
こぼしたミルクは
あたためてすぐの
ほかほかゆげのたつ
いちばんのホット。
こんなにあつくて
おいしいミルクは
どこにもないよ!
よかったねえ、
うれしいね、
って
はるかおねえちゃんが言ってた。
でもさくら、
おとしちゃった……
ゆげがたつ
じゅうたん。
からっぽの
マグカップ
お兄ちゃんに
こんなにおいしいミルクをもらったって
おしえたくて
いそいだら
こうなった……
かなしい……
だけど、おねえちゃんは
さくらもお兄ちゃんのいもうとだから
つよいよ!
またあっためるまで
まっていられるよ!
なんだって。
そうか!
お兄ちゃんの
いもうとだもんな!
でも……
やっぱりさくらはかなしくなっちゃう。
いったいどうやって
お兄ちゃんは
かなしいときもいられるの?
ふしぎなことね──
お兄ちゃんにだっこしてもらえると
かんがえる。
どうしておおきいの?
どうして
なかないの?
どうしてさくらは
すぐなくの?
うーん
ふしぎだな、
わからないことだらけだよ──